08 October, 2009

Stereo Soul / Lo-Fi 2009/11/18 Release

2009/11/18(Wed.)にStereo SoulというNew AlbumがReleaseされる。
一部店舗とiTunes Music Storeにおいては2009/10/28(Sun.)に先行Releaseされる予定だ。

今、私の手元には届いたばかりのそのPromote用の音源がある。
またこれを書いている間私の部屋にはこのAlbumから流れる音が立ちこめている。
率直に言って、「…この作品はいいな。」と思った。
音楽史に残るような大作でもなく、また歴史を覆し、脳天を駆け抜けるような衝撃的な音が飛び出てきているわけでもない。
だがこの音の隅々に込められた開放的な空気感や、自由でいてポジティブな色彩感、
小気味良くキレるRapフレーズ、どこか荒削りでいなたいSound Makeと、
そして聴けば聴くほどに考えられたセンスの良いアレンジは、
不思議なくらい自分の生活の中にある時間と馴染み、これを聴いているこの瞬間に少しだけ特別なエッセンスを加えてくれるような艶がある。



…これがLo-Fi初のFull AlbumとしてReleaseされるこの"Stereo Soul"を最初に聴いた私の感想だ。




このLo-FiというBandとそのAlbumは、これを読んでいる方の生活の中で、
ささやかだが確実に特別な時間を届けてくれる。
それは曲によって海沿いの湾岸線の風かもしれないし、
友達とバーベキューしている時の真夏のビールかもしれない。
涼しい秋風かもしれないし、初春の霧雨かもしれない。
それは当然音楽を聴く人それぞれの感性の奥にあれば良いと思うが、
そうした肌触りの良さがこの作品にはある。

まだ視聴できない段階ではなかなかこの感覚を伝えられないところだが、
一部の音源についてはmyspaceの中でも聴くことができるので是非聴いてみてほしい。
http://www.myspace.com/lofi5
直接彼らのOfficial HPからAlbumの予約をすることもできる。
http://www.lofi-net.com/pc/music/soul.html

あえて聴いていない人に伝えようとするのであれば、Crown City Rockersの"Earthtone"をより開放的で、都会的にした感じと言えば伝わるだろうか。それはClub Jazz的といえばそのような気もするし、R&B的といえばそのような気もする。
歌詞こそ全て流暢な英語だが、同時に日本人独特の都会的な艶っぽさをもった不思議な感覚の音質である。



私自身、このLo-FiのFront Manである"5"とはかれこれ6〜7年の付き合いにもなる。

もともと生い立ちからして日系の外国人であった彼は、
親の都合で方々を引っ越しながらそのパーソナリティを養ってきたという。
そのため彼は非常にInternationalな感性を持っていると同時に、
自分自身の思いを伝える手段を複数の言語で持っていることになる。
彼を見ていて「面白いな」と思うのは、人は伝える手段に選択肢を持つと相手に合わせることが容易になる一方で、自分のパーソナリティの表現に対して軸の持ち方を迷ってしまうのだと気付かされる。そのため彼の中でもかつては自分の歌を「自分の自然な言語体で伝えるべきか」「相手の自然な言語体で伝えるべきか」について悩む時期もあったようだ。それに対して彼自身が今落ち着いている答えについて、私は全面的に賛成だ。

それは表現する人が最も表現したい形で残すことが正しいということ。

今回この"Stereo Soul"を聴いていて改めてそんな彼の生い立ちを思い出したのは、
きっとこの作品から流れ出るポジティブなエネルギーは、彼自身が意識している以上に聴き手に伝わってくると私が感じたからだろう。
事実、この作品は全編英語で歌われていて私は歌詞カードを手渡されていないが、
歌を聴かずともその音の流れの中に自分なりのドラマや情景を描くことが容易にできる。
これは彼が「伝えたい」という一方通行な思いを超えて、彼自身と彼の愛する音楽の形を表現する事に徹したからこそ、
聴き手の中に存在するエネルギーと共鳴するものを作り出せたのだと思う。

また同時に彼を知ればこそ、ここまで楽曲を創り上げたこのBandの3人は本当に素晴らしいと思う。彼らは絶対にここからできるだけ間をあけずに、次の作品をReleaseすべきだと確信している。
1つには、今日の音楽シーンでアルバム一つ、曲一つで売れるだけの悲しい多くのアーティストを知っているが故。
2つにはこの作品で聴ける8曲には、まだここで終わらない続きがあるように聞こえてならないからだ。

ArtistやBandの成長パターンは人それぞれだが、等しく言えるのは始めたてのスポーツと同じように体に馴染み始めたらまず飽きるまでやりきること。
この作品の中には恐らく彼ら自身がまだ驚き、経験しながら1音1音に落とし込んでいる瑞々しさがある。
これが彼らのStyleになりきるまで、あと少なくとも2作品はこのクオリティで作り続けてほしいものだ。
そしてこういった才能を目撃し、楽しむ事ができるのが、たまたまその時代に生まれた音楽好きの楽しみでもあるものだ。



末筆ながら、このAlbum Reviewを書くに当たっては書き出しから、その伝え方まで非常に悩んだ。
やはり友人の作品を書くに当たっての気負いというのもあったのだろう。
そのため折り返し最初からこのReviewを読んで頂くことがあれば、今度は発売された彼らの音源を聴きながらライナーノーツと思って読んで欲しい。
そのくらい、今回のReviewに当たっては責任と自身のこだわりの強い感性に正直に書いたつもりである。

また今月18日にはiTunes Music StoreでReleaseされたタイミングでは、このBlogからも購入できるようにするつもりだ。
情報がUpdateできるようであればまたご案内したいと思う。

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