31 May, 2009

the forest Of Oversensitivity / Prefuse73



今回のお買い上げその2は、この1ヶ月で総計5枚のAlbum Releaseを果たしたScott "Prefuse73" HerenのLast Drop。

今日までにScott HerenがReleaseした音源はRemix Workも含めれば数えきれないが、この作品は間違いなく後々まで聴き続ける普遍的な名作の一つになるだろう。

今日のScott Herenは大きく3つの流れがある。
1つはいわゆる"Prefuse73の音"と呼ばれ、彼自身が切り開いてきたBeat Chop、Vocal Chopを巧みに使ったBreak Beats路線。2つはSavath and Savalasで彼が見いだした新境地ともいえる、Guitar音と少しLatinの乾いた香りの漂うElectronica路線。そして2007にReleaseされた"Preparations"のBonus Discから始まり、"Everything She Touched Turned Ampexian"へと引き継がれた第3のElectronica路線。この第3の路線はChorus Workと少ない残響系の音のSamplingで作られたElectronica調のもので、これまた実験的だが全く奇をてらって聞こえない美しい世界観を提案してくる独特の新境地だ。
(彼の凄いところは、普通のArtistは過去から未来に「変わっていく」のに対し、彼は過去から未来に「スタイルを追加していく」ことができるところだ。)

この最新作となる"the forest of oversensitivity"はこの第3の路線を、恐らく彼自身が最も表現したかったであろう美しさで仕上げたもので、語弊を恐れずに言えばたぶん一つの「完成形」を出せたものではないだろうか。

デビューしたばかりの彼の独自性はその予想できないChaosなBeat感と、本来誰もが聞き慣れたVocalというのを変則的に組み合わせるVocal Chopによる「功名に組み上げられた奇抜さ」にたまらないCoolさと中毒性があった。
この流れはSavath and Savalasとして変名Projectを始めた後も引き継がれ、このChaos感とGuitarのNaturalな響きのハーモニーがSavath and Savalasの独特の美しさだった。
そしてこの作品は、今までの流れからある種「Chaos感を抜き去った」ものに感じる。一貫した美しさとストーリーで、彼が提案したかったものがどういうものなのか私には知る由もないが、私がこの作品に感じるのは一つのまとまった美しいストーリーだ。
言い方を変えてみると、今までのSavath and Savalasまでの作品の音質が「個人の心の中」なら、この作品の音質は「個人の周りに存在する世界」。外向きな音な気がする。

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